追悼記事の中で「誰が涙を流しただろうか」とタイムズ紙が言ったジョージ四世

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1714年、イギリスはドイツのハノーヴァー家から君主を迎え、ハノーヴァー朝が始まる。以後1830年までの116年間、ジョージという名前の四人の国王が在位した。ジョージ一世からジョージ四世である。タイムズ紙が創刊された1785年はジョージ三世の在位期間だ。晩年ジョージ三世は精神障害を患ったため公務遂行が困難になり、息子のジョージ四世が摂政(リージェント)を務めた。ロンドンの名所、リージェント・ストリートやリージェンツ・パークに名前を残すジョージ四世だが、生前から評判は芳しくなかった。素行が悪く、浪費も桁外れだったと言う。

ジョージ四世が逝去した時、タイムズ紙は追悼記事の中で「亡き王には、その生涯に亘って多くの世代の親友がいたが、彼らの性格は動物的放縦を超えるものではなかった。その親友の中には、道徳的な属性は無論のこと、知的な属性の点で卓越した人物の名前を一人たりとも、見出すことはできない。」と、亡き王に鞭打つような言い方をした。

この記事を王に対する名誉棄損だとして、セント・ジェーイムズ・クロニクル紙が噛み付いたが、タイムズ紙は動じることなく、更に追い打ちをかけるような記事を出した。「我々はこれまで、恨みや個人的な感情は抜きにして、王の悪しき行いを教訓や警告の意味で記事の中で指摘することが責務であると考えてきた。王に優れた点があるのであれば、それを賞賛することに喜びを見出しただろう。だが、事実は正反対だった。亡き王ほど、その死を同胞から嘆き悲しまれることのない人はいるだろうか?誰がその死に涙を流しただろうか?」

ジョージ四世はどうしてタイムズ紙にここまで酷評されなければならなかったのだろうか。

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