近代印刷技術の革新はタイムズ紙を舞台に繰り広げられた

Permalink to 近代印刷技術の革新はタイムズ紙を舞台に繰り広げられた

ケーニヒの印刷機によって、それまで時間当たり250枚のペースで印刷していたのが、時間当たり1,100枚印刷できるまでになった。従来の4倍以上の速さである。翌日の新聞に載せるための原稿の締切時間がこれまでより遅くても良いわけだから、旧来の印刷機を使っている競争相手の新聞社に対してタイムズ紙は大きく優位に立つことになった。

だが印刷技術の革新に向かうタイムズ紙の情熱はこれだけで終わらなかった。新たに採用したイギリス人技師ウィリアム・クーパーが新しいシリンダーの原理を使って印刷機に紙を通す方法を開発したことで、印刷機から印紙が離れる前に両面に印刷することが可能になった。厳密に言えば、クーパーの印刷機は一回のオペレーションで両面印刷をする最初のものではなかったが、その実用性は高く、両面印刷機の大成者だった。そして、クーパーがアプルガスとともに1827年、四本のシリンダーを使った印刷機を開発し、時間当たり両面4,000枚の印刷が可能になった。

その後もタイムズ紙は、時代の最先端の印刷技術を貪欲に取り入れていった。最初の輪転印刷機も、印刷後に紙を切断する方法も、最初に実践に移されたのはタイムズ紙だった。タイムズ紙は一新聞を超えて、近代印刷技術の革新が繰り広げられた舞台装置でもあったのだ。

tThe Times 物語一覧へ戻る