タイムズ紙は、外国の情報への人々の渇望を満たした

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タイムズ紙と郵政省はついに裁判所で争われたが、郵政省の不正に対するタイムズ紙の告発は証拠がなかったため、タイムズ紙の勝訴にはならなかった。

この頃、ヨーロッパ大陸ではナポレオンが覇権を握り、多くの地域を支配下に置いていた。大陸封鎖令を発令し、イギリスをヨーロッパ諸国との貿易から締めだそうとした。その結果、他の商品に加えヨーロッパ大陸の新聞がイギリス国内に入ってこなくなり、外国の記事を国外の新聞に依存していたイギリスの新聞にとって重大な事態が齎された。外国の新聞の輸入を独占的に扱っていた郵政省も、新聞社から代価を受けていたわけだから、深刻な事態は同様だった。

だが、ここでもタイムズ紙の存在感は際立っていた。独自のチャンネルを通じてフランスの新聞をイギリス国内に持ち込んだのだ。ナポレオンとの戦争に関する情報を渇望していた人々を喜ばせたのは言うまでもない。ロシア大使館をはじめロンドン在住の外交官からタイムズ紙に対して感謝の気持ちを伝える書簡が幾つか残っている。外交官はタイムズ紙に感謝するばかりか、情報の確認まで求めた。それだけ、公式のチャンネルを通じた情報が届くのが遅かったということだ。外交官ばかりではない。イギリス外務省までタイムズ紙に書簡を送り、ナポレオン戦争の最新情報を知ろうと試みた。

タイムズ紙は、裁判では郵政省を追い込んで勝訴に持ち込むことができなかったが、政府の機関よりも早く外国の情報を持ち込んだことで、人々の情報への渇望を満たすという新聞の使命を果たしたと言えよう。

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