クリミア戦争①

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タイムズ紙の歴史の中で、クリミア戦争の時ほど同紙が大きな役割を果たしたことはないと言われている。クリミア戦争とは、西アジア地域への南下政策を展開するロシアとオスマン=トルコ帝国との間での領土を巡る対立に端を発し、イギリス、フランスがオスマン帝国側と同盟しロシアと戦った、19世紀半ばの大規模な戦争だ。戦争はオスマン帝国と英仏の同盟軍が勝ち、ロシアが敗れる。ナイチンゲールが従軍看護婦として献身的に負傷兵の看護に当たった戦争としても知られていよう。日本では、ペリーの黒船が来航し、激動の幕末の幕が切って落とされたばかりの頃だ。

この戦争にイギリスが参戦する前からタイムズ紙は、戦争報道キャンペーンを張り、対ロ戦争支持へと国内世論を喚起するのに大きな役割を果たした。これだけ大きな影響力を持ったのは、当時のタイムズ紙の発行部数がライバル紙の発行部数の合計よりも多かったことが、一つ原因として挙げられる。また、情報が正確で速いという評価は、創刊後八十年ほど経過したこの頃にはすでに確立していたらしく、イギリス政府の最後通牒をロシア皇帝が知ったのは、最後通牒の原本を受け取るよりも前に、タイムズ紙上であったと言われている。

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