The Times Digital Archive
Q:“The Times”はどんな新聞ですか?
A: Timesは1785年に創刊された現存する新聞では最も古い新聞です。世界の多くの新聞が○○Timesと名乗っていますが、その名称はTimesに由来します。世界各国の○○Timesと区別するために、Times of London(ロンドン・タイムズ)と呼ばれることもあります。世界の多くの新聞が模範として仰いだという意味では、新聞の中の新聞と言えるでしょう。
Timesが創刊されたのは、イギリスが産業革命により工業化の道を歩み始めた頃です。その後、イギリスは世界の工場、世界の銀行として繁栄を謳歌し、19世紀はパックス・ブリタニカ(イギリスによる平和)とも呼ばれます。20世紀になると、新興国の追い上げと戦争による疲弊とで国力は減退し、覇権国家の地位をアメリカに譲り渡しますが、現在も政治と経済と文化で世界に大きな影響力を与えています。
Timesもイギリス国家の歩みと歩調を合わせてきました。19世紀初め、最新の印刷機を他紙に先駆け導入したことにより販売価格を下げ購読数を増やし、イギリスが繁栄を極めた19世紀半ばには、世論の後押しにより政府の政策を動かすまでの力を獲得します。その後、19世紀後半になって印紙税の廃止により安価な新聞の発行が相次ぐと、発行部数でTimesを超える新聞が出てきます。発行部数では他紙に超えられたとは言え、大仰な見出しとゴシップ記事で読者の欲望に訴える大衆紙(タブロイド紙)とは一線を画すTimesは、知識人とアパークラス及びミドルクラス向けの高級紙として確固たる地位を保ち、現在に至っています。
Timesは、近代イギリスの政治、経済、社会、文化、芸術、習俗の様々な出来事の証言者です。また、早くから世界各地に外国特派員を駐在させ、外国情勢の発信では他紙を圧倒していました。その社説は世界の政治家、知識人が耳を傾け、社説や記事に対しては多くの人々から投書が寄せられ、時にTimesは論争の舞台にもなりました。さらに、訃報欄をはじめとする人物情報欄は歴史上の人物についての思わぬ発見に満ちています。古い広告欄は風俗史の一断面を提供してくれます。
一言で言えば、Timesは、近現代イギリス、近現代世界を映し出す歴史の鏡です。
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