穀物法反対運動から生まれたエコノミスト

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イギリスの週刊経済紙、エコノミストが創刊されたのは、今から約170年前の1843年である。ヴィクトリア女王即位の六年後、繁栄を謳歌したヴィクトリア朝が始まったばかりであった。イギリスの国民的新聞タイムズは、この時すでに創刊から約60年が経過し、イギリス最大の発行部数を誇る、押しも押されもせぬ国民的新聞の地位を築き上げていた。

創業者はジェームズ・ウィルソン、スコットランド出身の帽子製造業者だ。どうして、帽子製造業者のウィルソンが経済専門紙を創業したのかについては、当時の時代背景を少し知っておく必要がある。当時イギリスには穀物法という法律があった。外国の安価な穀物に高い関税を課すことによって国内の農業を保護する目的で施行された。農地を所有しているのは貴族だから、簡単に言えば大土地所有者=貴族を保護するための法律だ。高い穀物やパンを買わされる工業家や労働者は反対して、穀物法に反対するための運動が全国的に盛り上がった。タイムズも穀物法を反対するための論陣を張った。ウィルソンは、学問にも関心を持っていた実業家で、アダム・スミスやリカードなど、自由貿易を志向する当時の先端的な経済学の教養を身に着けていたから、当然のように穀物法反対の機運の高まりには注目していた。長い論文を書いて、パンフレットに発表し、時論家としての声望も得るようになった。

だが、それだけでは飽き足りなかったようだ。単なる時論家に止まるのではなく、新聞を発行し、自由貿易の価値を説き続けることが必要だと考えるようになった。こうして、1843年8月1日、エコノミストが生まれたのである。当時は経済学の歴史の中では、古典派経済学の完成期とされる。創刊以来、自由貿易や市場経済の利点を説き続けてきたエコノミストは、スミス、リカードらの古典派経済学の申し子と言えるだろう。

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