事実や統計を重視した創業者ウィルソン

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経済あるいは経済学の社会の中での位置づけやイメージは、エコノミスト創刊の頃と現在とでは大分異なる。エコノミストが創刊された頃、ケンブリッジ大学には経済学部はまだ存在しない。アダム・スミスの大学での肩書は「道徳哲学教授」だった。リカードは大学人ですらない。当時のエリート教育の本流は、古典、つまり古代ギリシア、ローマの言語、歴史、哲学の習得であり、そのような教育環境の中で、商品やお金に関わる学問は傍流と見なされて当然だった。だが、エコノミスト創刊から半世紀ぐらい経過すると、イギリスの教育事情も変わり、経済に関わる学問の地位が浮上し、アルフレッド・マーシャルによってケンブリッジ大学に経済学部が創設される。ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスが創設されるのも十九世紀後半のことである。それから百年以上経過して現在では、経済をめぐる話題は毎日のようにメディアを賑わし、学問としての経済学も人気学部の一つと言ってよいだろう。逆に、エコノミスト創刊の頃に教育の本流だった古典教育の方が、現在はその意義を問われることが多いだろう。

このように見てゆくと、ジェームズ・ウィルソンは社会の中での経済や経済学の位置づけについて、先見の明を持っていたと言えるだろう。ウィルソンは事実を踏まえて論証することの重要性を一貫して説き続けた。また、子供の頃から数字や統計に対する興味が人並み以上に大きかったと言う。

TPPに典型的に現れている貿易の自由化の是非、あるいは中央銀行の政策など、現在論議を呼ぶ経済的争点の中には、エコノミスト創刊から数十年の間にイギリスで問題の原型が生まれたものが多い。その意味で、現在の問題への示唆を得るためにも、過去のエコノミストの記事を遡ってみることは大いに意味があるだろう。

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