エコノミストは銀行学派と通貨学派の論争に関する貴重資料

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世の中にお金がどれだけ出回るかは、国にも企業にも個人にも大切な問題だ。そして、世の中のお金の総量をコントロールしているのが、中央銀行である。景気が過熱してインフレ気味になれば、お金の総量を下げ、不況になればお金を供給して、経済を活気づけるのが、通貨の番人たる中央銀行の大切な役目の一つである。だが、中央銀行のお金の供給を巡っては、経済学者の間で大きな論争が繰り広げられてきた。そして、現在に至るまで解決したとは言い難い、銀行による正しいお金の発行の仕方は何かという難問を巡って、エコノミストが創刊された頃に、大きな論争が経済学者や実務家の間で起こった。銀行学派と通貨学派の論争である。

当時のイギリスでは、現代日本とは異なり、銀行券はいつでも金と交換できた(兌換紙幣)。逆に言えば、金の総量が銀行券の総量をある程度決定していたのだ。このような状況の中で、金の総量(金準備)を超えて、銀行が銀行券を発行すれば、銀行券が多くなるだけ、インフレになる(銀行券の価値が下がる)。これにどう対処すべきか、というところで人々の意見が分かれた。インフレになり、銀行券の価値が下がれば、銀行券を保有する人は価値が安定している金と交換するだろうから、銀行券の過剰は解決すると考える人々が一方にいた。それに対して、そのような解決は期待できないので、銀行券を発行する中央銀行が事前に発行の水準を規制すべきだと考える人々がいた。前者が銀行学派で、後者が通貨学派だ。エコノミスト創刊の翌年には、通貨学派の主張を盛り込んだ法律が施行された(ピール銀行条例)。

エコノミストの創業者、ウィルソンは銀行学派の主要人物の一人として、この論争が回顧されるときに必ず紹介される。当然のことながら、ウィルソンは自分の見解を世に広めようと、エコノミストの記事の中で健筆を揮った。銀行学派と通貨学派の論争は、十九世紀の経済学の歴史の中でも最重要論争とされる。その論争の当事者の記事が多数掲載されたエコノミストは、貴重な歴史資料であると共に、現在のお金の問題を考えるときにも、大きな示唆を与えてくれるだろう。

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