エコノミストの創刊趣意書

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1843年8月1日のエコノミスト創刊号には”Prospectus”が掲載された。”Prospectus”は日本語では「趣意書」と呼ばれ、出版物の概要を出版前に公表する梗概を指す場合が多いが、ここでは創刊にあたって、今後の編集方針の概略を述べたものだ。今後エコノミストが記事として掲載を予定しているものとして、十三項目が挙げられている。一つ一つ見てみよう。

一番目は、巻頭記事。巻頭記事では、政治と議会の問題や財政、通商、農業の問題を論じる場合に、自由貿易の原理を厳格に適用することが宣言されている。

二番目は、実務的な問題に関する記事。

三番目は、政治経済学の基本原理を平易な形で実務的問題に適用する記事。とりわけ、価格や生産者と消費者の関係といった問題を、自国や外国の例を参考にしながら解説するとしている。

四番目は、議会の討議報告。通商、農業、自由貿易に関する議会の討議を詳細に報告すると予告している。

五番目は、民衆運動に関する記事で、自由貿易を支持する国内の運動を幅広く報告し、解説するとしている。

六番目は、一般ニュース。ロンドン、地方、宮廷、スコットランド、アイルランドで一週間に起こった出来事を報道する記事だ。

七番目は、通商記事。市場の現況や予測、輸出入の動向、商品の供給に影響を与える可能性のある外国ニュース、工業地帯の動向、技術革新、海運、通貨、鉄道等に関する記事が掲載される。

八番目は、農業記事。農業における革新、地質学や化学の農業への応用に関する事例を紹介し、保護に依存するのではなく、知恵や工夫によって農業を発展させようとする独立の精神を支援することを謳っている。

九番目は、植民地、外国記事。外国における通商、製品、政治の動向を迅速に報道し、自由貿易の利益と規制や保護の不利益を明らかにするよう努めるとしている。

十番目は、法律記事。通商、工業、農業にとって重要な法律に限って報道すると予告している。

十一番目は、書籍に関する記事。政治経済、金融、税に関する書籍を優先的に取り上げるが、これらに限定するわけではないと予告している。

十二番目は、通商官報。最新の価格と統計を掲載する。

十三番目は、投書欄。

これを見ると、エコノミストが当初から、保護主義を取り除き自由貿易の促進を使命としていたことが如実に分る。この十三項目の趣意書は、現在の経済専門紙にもほぼ当てはまるくらいだ。現在の日本経済新聞の記事も、この趣意書から大きくは隔たっていない。その意味でこれは、エコノミストに止まらず、その後の経済専門紙の趣意書と言っても過言ではないだろう。

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