ウィルソンはセルフヘルプの精神を体現したスコットランド人

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どの新聞でも、その歴史を知るにはその創業者のことを知る必要がある。これは、タイムズなどの他の新聞以上にエコノミストに当てはまる。エコノミストの創業者、ジェームズ・ウィルソンは編集者でもあり、多くの記事を書いた。それだけでなく、新聞はどうあるべきか、社会はどうあるべきかについて、確固とした信念を持ち、それを生涯貫いた。ウィルソンがエコノミストの編集方針として固めた趣意書は、ウィルソン亡きあとのエコノミストの導きの糸になったが、それだけでなく、後の編集者にもウィルソンは大きな精神的影響を及ぼした。エコノミスト史上最も著名な編集者であり、ウィルソンの娘婿にあたるウォルター・バジョットを挙げることができるだろう。

だが、エコノミストの歴史におけるウィルソンの存在の大きさだけを指摘するだけでは足りない。その言行を見てゆくと、ウィルソンがある典型的なイギリス人を体現していることに気付く。ウィルソンを一言で表現すれば、「骨の髄からの実業家」だ。抽象的な思考を嫌い、具体的な事実に重きを置き、どんなことであれ、実生活の中での価値は何かという観点から判断した。この辺りは典型的なイギリス人と言えよう。教育においても実学を重視し、オックスフォード、ケンブリッジ流の伝統的な大学教育には何ら価値を認めなかった。「大学を卒業し外の世界に出た時に、真の教育が始まる」とも言っている。また、誰もが、自らの能力と勤勉により貧しい境遇から社会の階段を上がることが出来ると信じていた点では、サミュエル・スマイルズ(ウィルソンの同時代人)のセルフ・ヘルプの精神を体現していた人だとも言える。

ウィルソンがスコットランド出身であることを考えると、典型的なイギリス人というより、むしろ典型的なスコットランド人と言った方がよいかも知れない。スマイルズもスコットランド人だ。そして、ウィルソンが堅持した古典派経済学の始祖アダム・スミスも。こうして見ると、エコノミストは、イギリスで連綿として継承されているスコットランド精神とでも呼びうるものを体現した新聞である、と言えないだろうか。

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